当科は腎疾患、高血圧の診療を柱としています。

 高血圧発症の一因は腎臓にあり、また腎臓は高血圧による臓器障害の標的ともなります。近年、軽微な腎機能障害、微量アルブミン尿が心血管疾患の強力な危険因子であることも明らかになりました。

 さらにメタボリック症候群や糖尿病、動脈硬化などの生活習慣病が腎障害の主要な成因となっています。

 まさしく腎臓は全身疾患の「鏡」です。慢性腎炎やネフローゼ症候群は当然ながら、高血圧、糖尿病、メタボリック症候群などを含めて、「全身管理のできる」腎臓内科医の育成を目標としています。

 もちろん腎臓内科専門医としてだけでなく臨床内科医としての能力も同時に求められます。そのために常に患者中心の姿勢での診療を行う”よき内科医”としての知識・技術・診療態度を併せ持つ腎臓内科専門医の育成を目指しています。

 内科医として広い総合能力の上に専門性を打ち立てることが目標です。

 左図で示すような山容の大きな医師「山脈型」を目指しています。豊なHumanityを基盤とし、サイエンスのマインドを持ち、内科医としての広い総合能力の上に複数の専門性と持つような医師を目指しています。国民が求める医師像とはこの様な医療者ではないでしょうか。そのためには多様な経験を積みながら、あえて時間をかけて“らせん状”の成長曲線を描くことが求められます。“単一の専門性”をもついわば「ペンシル型」の専門医になるのはむしろ容易です。しかし患者さんが求めるのはこの様な医療者ではありません。

 それを可能にするために当科には、腎疾患のみならず高血圧、循環器、老年内科分野で高い専門性を有するスタッフを擁しています。

 スタッフはいずれも若く、自らさらなる広い総合能力と高い専門性の獲得を目標として研鑽を積んでいます。出身大学もさまざまで学閥などありません。全身疾患を診ることのできる総合能力を獲得し、同時に高い専門性が獲得できます。

 自由な環境の中で、我々と一緒に良き臨床医を目指して研修しましょう。意欲のある方の参加を期待しています。

初期研修

 当院の初期研修には幾つかのプログラムが用意されています。そのなかで6週か8週が基本の研修期間となります。プログラムにより希望される場合にはさらに長期間の研修が可能となります。この期間に希望に選抜制ではありますが、短期の海外研修も行えるシステムを用意しています。詳細は当院の臨床研修センターHPを参照してください。

後期研修

 初期研修を修了した医師が対象となります。全身疾患を診ることのできる総合能力と、同時に複数の高い専門性を獲得することを目標にしています。腎疾患、膠原病いずれも全身疾患であり、急性の病態と年余におよぶ慢性疾患の両者を経験可能です。内科医としての総合能力を獲得する上で適した分野といえます。異なる専門分野出身の優れた教育スタッフを擁しており、また必要に応じて高レベルの関連教育機関も利用可能です。

  1. よき内科医を育成する
  2. 各自のキャリアプラン形成を尊重する
  3. 更なる発展のための専門的な手技・技術を獲得する
  4. 知識を蓄積する

を具体的な目標としています。

研修プログラム

 シニアレジデントとして最長6年間まで研修可能、希望によりさらに3年間チーフレジデントとして研修医の指導にあたることも可能です。

 レジデントは準職員として規定の給与が支給され,社会保険雇用保険労災保険が適用されます.研究費ならびに出張旅費も支給されます.

よき内科医を育成する

 ヒトの体は一つの病気だけを発症するとは限りません。特に腎臓疾患は循環器疾患、消化器疾患、血液疾患、感染症、膠原病、などさまざまな病期と密接に関係している症例が非常に多くあります。専門医を目指すと同時にまずはよき内科医として種々の疾患に対応できる資質を育成します。

各自のキャリアプランを尊重する

 本人の意向を重視し自由度の高いプログラムを用意します。研修期間中に希望により、関連教育医療機関での研修も可能です。さらに院内においても関連科(糖尿病内科、救急科など)を4~6カ月単位でローテイトすることも可能です。また、いずれの学年からも大学院進学、海外留学(奨学金制度あり)が可能です。大学院進学および海外留学については下記参照してください。

更なる発展のための専門的な手技・技術を獲得する

 腎生検:腎生検は、腎疾患の診断および疾患活動性を評価するために不可欠な検査です。当科では年間70-90例の腎生検を実施しております。後期研修期間内に腎生検の手技は習得して頂きます。

 血液透析療法:当科には、病床19床の腎センターを併設しており、毎日午前午後2クール維持透析を施行しております。プライミングから、穿刺、回収といった手技的なことはもちろんのこと、最適な透析提供のためのプランの立案を専門的に学習することが可能です。また、シャントトラブルも、当科でPTA(経皮的血管形成術)を行っており、PTAの手技習得も可能です。

 腹膜透析療法:現在、腹膜透析外来に約50名の患者さんが通院して頂いております。腹膜透析導入後の定期的な外来を担当して頂きます。

知識を蓄積する

 腎生検カンファや必要に応じて他科の主治医も参加する臨床カンファでは上下関係なく容赦ない質問攻めに応戦することにより知識の蓄積を行うと同時にディスカッション能力を養うことができます。また臨床カンファでは輪番制で抄読会も行っています。

 臨床医としてのトレーニングを受ける一方で、学会や研究会など学術活動にも積極的に参加して頂きます。さらに当科の行う臨床研究にも参加して頂きます。これらの成果はあらゆる形で国内誌および国際誌に発表できるように指導医が懇切丁寧に指導致します。

外部医療機関での後期研修

 1-2年の大学病院での後期研修終了後、関連病院での1-2年間の後期研修を行っております。

過去の実績

       

平成20年度 姫路マリア病院内科 1名  神戸中央市民病院腎臓内科 1名  住友病院腎臓内科 1名
平成21年度 大阪労災病院腎臓内科 1名
平成23年度 大阪労災病院腎臓内科 1名
平成25年度 大阪労災病院腎臓内科 1名  住友病院腎臓内科 1名
平成26年度 大阪労災病院腎臓内科 1名  住友病院腎臓内科 1名
平成27年度 大阪労災病院腎臓内科 1名
平成28年度 大阪労災病院腎臓内科 1名
平成29年度 大阪労災病院腎臓内科 1名
平成30年度 大阪労災病院腎臓内科 1名
令和元年度 大阪労災病院腎臓内科 2名  住友病院腎臓内科 1名
令和2年度 大阪労災病院腎臓内科1名 住友病院腎臓内科1名 川崎総合医療センター2名
令和3年度 大阪労災病院腎臓内科1名 住友病院腎臓内科1名 神戸労災病院総合内科1名
令和4年度 大阪労災病院腎臓内科1名、神戸労災病院総合内科1名、福山市民病院腎臓内科1名
令和5年度 大阪労災病院腎臓内科1名、福山市民病院腎臓内科2名

大学院への進学

 関連病院での後期研修終了後、基本的には大学院への進学を行っております。もちろん、当院での研修終了後直ちに、入学も可能です。研究の内容は、>>こちらから詳細をご参照ください。

 4年間の研究生活を送った後に、学位習得し、海外留学も可能です。