腎センター
当院の腎センターは本館10階南病棟にあり、ベッド数19床と大学病院の中では比較的多くの透析ベッドを有しています。腎臓内科医師、看護師、臨床工学技士、管理栄養士といった多職種が連携して血液透析や腹膜透析による腎不全治療を行っています。現在、透析専門医6名、透析技術認定士3名、透析療法指導看護師2名、糖尿病療養指導士1名、腹膜透析指導看護師9名と、各専門資格を有する充実したスタッフを配置しています。
血液透析は、当院で血液透析を新規に導入される患者さんのほか、合併症・併発症などで各診療科へ入院されている維持透析患者さん、シャントトラブルなど透析に関連した合併症を有する患者さんの治療を中心に行っています。血液透析(HD)、血液濾過透析(HDF)およびオンラインHDFに対応できる透析機器を完備しています。様々な合併症のため透析治療が困難になる患者さんも増えているため、より安定した透析治療や合併症の生じにくい透析治療を目指し、個々の患者さんに適した透析方法や透析技術を提供できるよう取り組んでいます。
教室の発足当初から腹膜透析にも注力しており、現在約40名の腹膜透析患者さんが通院されています。腹膜透析は在宅での治療を主体としており、血液透析に比べ日々の生活や仕事への影響が少ないことが大きなメリットの治療法です。患者さん個々の生活スタイルを重視しながら、テーラーメードの透析治療を提供できるよう心がけております。近年では、当院と自宅での透析を遠隔でつなぎ、より良い腹膜透析治療を提供できる機器を導入しました(腹膜透析用治療計画プログラム「シェアソース」および自動腹膜灌流用装置「ホームPDシステム かぐや」)。そのほか、医療施設向けの腹膜透析教育プログラム(MASCAT)などの研修活動を行なっており、地域での腹膜透析普及にも取り組んでおります。
また、透析療法を開始される段階の保存期慢性腎臓病患者さんを対象に、多職種が連携した慢性腎臓病(CKD)教室を定期的に開催しています。これに加え、透析療法および腎移植といった腎代替療法の治療選択をサポートできるよう、それぞれの治療の見学や詳細な説明を行っています(腎代替療法選択外来)。当センターでは患者さんの治療に対する考えを医療者側と十分に共有し、不安を払拭したうえで治療方針を決定する「共同意思決定(Shared decision making: SDM)」の考え方を重視しています。
当センターでは、上記のような透析治療以外に、消化器疾患・血液疾患・神経疾患などの様々な疾患に対する特殊血液浄化療法(血漿交換療法、二重濾過血漿交換(DFPP)、白血球除去療法、LDL吸着療法、腹水濃縮再静注療法 など)も数多く行っています。また、主に集中治療室や救急診療において急性腎不全や敗血症性ショックを発症し、透析が必要となった患者さんに対する急性血液浄化療法(持続血液浄化療法)も腎センター医師が主治医と連携し担当しています。